青の異物  (すきとおる、
ねことら


―――いつも雨の音がする



ひんやりと冷たい、鉛の棒で、
心臓をゆっくり刺し貫かれるような違和感で目が覚める、
午前3時、のろのろとベッドを這い出して、
レジ袋から転がっているペリエの封を切ってちいさく呷る、
しん、としている1Kの、トンネルのような夜の底にいる
微熱、わたしの躰は、どうやらまだ眠りを欲していない



ブラインドを少しおしあげると、月に突き刺さるように高層ビルが林立していて、
どれも赤いランプを不気味な獣のようにひからせる
(それでも、きっとおびえているように、みえたのだ、)

始発電車とよばれるものにはまだ間があって、群青の深いこの町のどこに、
鋼鉄製のレールが敷かれているのかは知らなかったのだけれど、
きっと、私は乗るのだろう






デイパックに飲みかけのペリエと歯ブラシとipodを放り込めば
他に用意するものもなくて、懐中電灯もいらない、コンパスもいらない、
そんなことは、君が最後におしえてくれなくても、わかっていたから
きっと、歩いていける、そう信じられているんだ、



ゆるやかにゆるやかに湾曲している国道沿い、
ぷつぷつと肌をあらう夜の冷気がここちいい、
ゆっくりあるいてゆくことにする、あるくのはすきだ、
等間隔の街灯がやさしい、街灯の光が好きだ、
朝焼けが近くて、この暗がりの、まぶしさが、いたくて




私、なんにもないけど、あやふやな希望は炭酸みたいで、
きっと、朝日にしゅわしゅわとけてしまう
かりそめの気持ちしか知らないけれど、
ひりひり、いたむ
いきてる








どこまでもつづく国道沿いで、シャカシャカipodを鳴らしながら
私は泣いていたかもしれない、
すきとおるようないとしさに感電して、泣いていたかもしれない








自由詩 青の異物  (すきとおる、 Copyright ねことら 2008-09-05 03:09:01
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