永遠ブランコ
カンチェルスキス
午前一時 机に肘ついて 見えない国道を眺める
建物の奥には陰険がある そして街中にもそれはあった
ブランコをこいでるときに
どこか知らないとこへ飛んでしまうおそれなんか抱かなかった
どこか遠くへ行ける夢を垣間見たんだ
泥の水たまり 錆びついた鉄棒 寝たきり老人のくしゃみ
もう電車のレールは刃のようではない
暗闇沈んだ冷たい足音 ぬるくなった風呂場のお湯
からまったジャングルジム 明かりの下
なにげない開襟シャツの袖口が涼しい
バラの香りが漂うより早く 近づいてくる 失え失えとの声
おれはブランコから飛び降りられないでいる