永遠ブランコ
カンチェルスキス



 午前一時 机に肘ついて 見えない国道を眺める
 建物の奥には陰険がある そして街中にもそれはあった
 ブランコをこいでるときに 
 どこか知らないとこへ飛んでしまうおそれなんか抱かなかった
 どこか遠くへ行ける夢を垣間見たんだ 
 泥の水たまり 錆びついた鉄棒 寝たきり老人のくしゃみ
 もう電車のレールは刃のようではない 
 暗闇沈んだ冷たい足音 ぬるくなった風呂場のお湯
 からまったジャングルジム 明かりの下 
 なにげない開襟シャツの袖口が涼しい 
 バラの香りが漂うより早く 近づいてくる 失え失えとの声 
 おれはブランコから飛び降りられないでいる








自由詩 永遠ブランコ Copyright カンチェルスキス 2008-09-02 01:25:45
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