夜の病
AKiHiCo

 首を絞めたのは
   愛しているから
指先に触れる貴方の香り
  けれど、
       貴方は私を
    愛してはいないから
  誰か他の人
愛する前に奪われる前に

此れは夢ではなく現実で
今まさに貴方を殺める
感情と感情の間に在る理性
其れを狂わせたのは誰なのか、
誰が被害者で誰が加害者か

虚ろな眼差しの瞳に
映る私の姿は醜く逆さまに
止まる時間の中で愛し合う
僅か数秒の悪夢から覚めれば
其処には楽園が拡がる

  誰にも貴方を渡さない
壊れる前に壊したくなる
   受け止めて
 私を、
      その声で欲して
    私だけの貴方
         力を込める
     永遠に為れよ

静寂を含んだ部屋に
二人きりで
沈黙を守る貴方を抱いて
蒼褪めた唇に私の愛液を注ぐ
口許から溢れ出て床に落ちる
指を絡めて接吻を
力のない体躯に浴びせる愛
笑い声が夜を引き裂く

此れを罪と呼ぶならば
世には救いはないのだろう

誰が加害者で誰が被害者か
報われた心は地下牢へ


自由詩 夜の病 Copyright AKiHiCo 2008-08-31 21:58:07
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