ありがとう
かんな

あなたでした。

(のほほんとした真昼のじかん)

小雨のようにぽつりと呟いて、砂利道を手をつないで歩いてくれたのも

(ありがとう、がかいま見えたけれど)

そうやって森のようにひっそりと見守ってくれたのも

(なんだか照れくさくてみえて)

あなたでした。


(かさぶたがはがれてしまうように)

緑の葉も黄色くなり茶色くなり土に変わる

(きもちが傷つくことはあるけれど)

雨のしずくのひとつひとつは水たまりに変われるけれど

(夜空にかみなりがおしよせるように、心が曇ってしまうこともあるけれど)

そんなこぼれそうになった涙を抑えればいつか変われると

(わたしはわたしのままでと)

教えてくれたのはあなたでした。


(やさしさはあいをとりまいて放さない)

雑草がひまわりに憧れるように

(あいはやさしさをひとりじめしようなんて思わない)

大海原が雨のひとしずくを飲み込むように

(夏が終わるのといっしょに)

あなたに焦がれるはわたしでした。


(ありがとう、が左胸についてはなれなくて)

雨があがると虹が出る、虹が出たら窓をあける、窓をあけると世界は広がって

(そんなとき、あなたに会いたくて)

そこにいるのはあなたでした。


ありがとう。


自由詩 ありがとう Copyright かんな 2008-08-31 17:52:41
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