飛行船がとぶ そして人も
パラソル

飛行船にのったひとびとが
何人も何人もいる
その人たちは、まどをあけて、ここから飛びおり
たがっている。

映画のような気もちで 落下したら
着ているものがどんどんぬげていく
最後にアンパンマンの描かれた靴だけが、残った。

アンパンマンは 笑顔であざ笑っている。
「ぼくにはふろしきがある。お前にはない。」
最後のことばを聞きながら、ぶどう畑に次々に墜落し
た。
農薬で出来た甘い香りと、血のにおいが
あたり一面にうかぶ。

ここは空ではない。地上だ。
空を移動する家からつき落とされ、住む資格をうしなった。
あのドアは安全だと思ったのに。
向こう側に部屋のないドアは無いと思っていた。
開けたら、そこには板張りの上に、イスと、テーブルが存在
しなければならなかった。

まどのむこう 目の窓から
一瞬たしかにそれは存在した。
首を上げたら、それは空だった、


自由詩 飛行船がとぶ そして人も Copyright パラソル 2008-08-30 22:03:23
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