休日
nonya


ちょっとだけ焦げたトーストに
マーマレードを丹念に塗りつけながら
行間が欠伸している新聞記事を
接続詞のように眺めていた

かなりぬるくなったコーヒーを
スプーンで執拗にもてあそびながら
葉先に寝癖がついている観葉植物を
句読点のように眺めていた

窓から射し込む優しげな光は
遅すぎる朝を真っ直ぐに進んで
見られることもなくなった壁の
セザンヌを半分だけ明るくしている

作者不詳の鼻唄まじりに
見上げた時計はすでに柔らかくて
柱を伝い落ちた秒針が床に
黒猫の形の水溜りを作っている

ようやく取り戻した時間の
こそばゆい重さを味わいながら
回転速度を上げずに考える
自分の右側だけで考える

何処へ
行かなくて良いのかを
何事を
行わなくて良いのかを


自由詩 休日 Copyright nonya 2008-08-30 10:30:07
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