【詩とは何か祭り参加作品】 枯葉に満ちた山の向こうへ
紫音
色づく
赤に
茶に
橙に
モ
ザ
イ
ク
のように
やがて散りゆくことを知らず
絶える直前が美しいのだと
旅人は言ったとか言わないとか
追い立てるように
風
は
吹
き
知らず気づかず時は駆け
やがて、は、もうすぐ、になり、いま、になる
時計の音は命を削り
きのう、きょう、あした
旅人は
もう
いない
指を立てても
風を感じることはできず
目を見開いても
散りゆく葉を見ることもできず
旅人の温もりは冷たく固く
美しさは儚さと同衾する
言ったことも言わなかったことも
やがて
もうすぐ、いま、散って
ゆ
く
残骸と成り果てて
とうの昔に絶えてしまったとしても
風に翻弄されつつも
舞い踊り
舞い散り
舞い去り
言の葉は
死んでも詩として
風の翻弄の中で
時の吹き荒れる中で
死してもなお
色づき
舞い
駆ける
色づく死
言の葉が満ちた
山に登ろう
理由は必要ない
そこに
山があるのだから