稲穂の実る頃
白昼夢

遠くの森で蜩が鳴いている
遠い遠いどこかの森で

穂を啄ばみに来る雀の群れを追い払う
生きるためにはしなければならない、どちらもそうしなければならい

秋の足音が聞こえてきた
私の後ろから、ひたひたと音を立てて

風も空も雲も、それを待ちわびているかのように
次第に色を変えていく

芝生の上を跳ねる蝗など、コンクリートで固められた街では見ることが出来ない
風に乗る蜻蛉など、曇った空では見られない

夏はどこかへ行ってしまう
どこに行ってしまうのだろう

もう川に魚はいない
彼らもどこかへ行ってしまった、どこか遠いところへ

空に鱗が昇るころ
目に映るは金色の海

虫の鳴き声
足音が聞こえる


自由詩 稲穂の実る頃 Copyright 白昼夢 2008-08-27 20:10:52
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