時間をさがす間に コーヒーが腐った
パラソル

現代の時間を
顕微鏡で見てみようとしたが、
とてもだめだった。
ミジンコがうつってるだけだった。

おれは白い服を着て
学生に無視されるのが仕事だ

黒板からまいあがる、チョークの粉で
顔をまっ白にするのが仕事だ

機会があったら食事にネコイラズを入れたい教授どもの
飲み会に付き合ってぜつぼうするのが仕事だ

ミジンコや顕微鏡や、ほこりだらけの本棚や、
生徒が少なくなった校内や、どこかの世界から、
「現代の時間」をひっぱりだす、
いや、だそうとする、
のが仕事だ。

それはタンスからTシャツをとりだすように簡単じゃない。
Tシャツなんてとっくの昔に失った。


大学を爆破したい 胸がときめく
大学を爆破したい 時間が見えるような気がする
大学を爆破したい 火を見たい
大学を爆破したい 大学を爆破したい
大学を爆破したい 爆発音から生まれうぶ声をあげる燃えかす
大学を爆破したい 退屈に穴をあけて 
大学を爆破したい 大学を爆破したい
大学を爆破したい 大学を爆破したい


ゴミ捨て場にいった
にしんが腐っていた
袋をなげこんだ
プラスチックと紙を分別していない
時間がよどんでいる


詩人になればよかったのだろうか
時間をさがすために
音楽家になればよかったのだろうか
時間をつかまえるために
残業代が出ない店長になればよかったのだろうか
時間を感じるために

温度の無い風呂に入っているようだ。
生きるも、死ぬもない。


ただ、学生に無視されている。
ただ、週末のヘタクソなカラオケに付き合っている。
ただ、給料をもらっている。
ただ、ゴミ箱の前で絶句している
ただ、デパートの入り口でUターンする
ただ、夏が喪失する
ただ、のろのろとガムをかみつづける
ただ、読んでいた本のあらすじが分からない
ただ、大気圏の自分を思う
ただ

ただ、時間をさがしている。 時間から隔絶された部屋で
END


自由詩 時間をさがす間に コーヒーが腐った Copyright パラソル 2008-08-26 23:15:20
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