東京の街路樹
吉岡ペペロ
東京の街路樹では
幾種類ものセミが鳴いていた
夏の時が豊か、だった
品川プリンスの坂をあがる
湿ったアスファルトの匂い
木々のひんやりとした匂い
いまからきみに逢いにゆく
東京の街路樹では
幾種類ものセミが鳴いていた
夏の影が豊か、だった
いまからきみに逢いにゆく
さよならできなかったから
どんな純情ぶらさげてけば
僕らは正しくなるのだろう
東京の街路樹では
幾種類ものセミが鳴いていた
夏の時が豊か、だった
自由詩
東京の街路樹
Copyright
吉岡ペペロ
2008-08-25 18:25:24