見たもの今日
KETIPA

轢かれた雀の産毛がはためく


霧吹きの少女は無闇に湿度を上昇させる


醤油を加えて煮詰めたような大気に
圧迫され
息を吐く 二度



「電車が通るので注意してください。」



夕方準備中の陽光に
焼かれて燃えたつ街路樹一本



弱い風が鎮火
を助けた



平然とした町に夕暮が開店した




鍵開ける音に孤独を見出し
部屋の隅で泣いて

1の中にまぎれこんだ0を
人差し指でつぶした


自由詩 見たもの今日 Copyright KETIPA 2008-08-24 23:40:28
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