ほんとうはここにあって、真実はここにはない。
ゆうと


あなたみたいに遠くへは行けない。
ぼくには足があるから。
そういっていいわけを考える。
うまい、うまくないかはべつとして。
とりつくろう、縫う、パッチワーク、みたいに。
きれいかどうかはべつとして。
うそをつくの。
うそじゃないうそを。
ほんとうのことを。
うそにしていうのさ。

あの子が書き上げる物語は
あの子のものであり、あの子のものでない。
ぼくのこのうそも、風に乗っていくのさ。
あなたの胸で
消えるか、残るかする。
いちいち気にとめてはいられないので
ぼくは風に身を任せる。

この世界は暗い。そして明るい。
あなたが知っているのは
どちらでもあり、どちらでもない。
ニュースは流れる。
ぼくは風に身を任せたまま。

ふ、と。

涙が出た。
どうもしていないし、大丈夫、なのだけど。
涙が出た。
おもわず、すばらしいとぼくはいった。
それを見て
きみも、すばらしいといった。

なぜって、それは

こころがあるからだ。




自由詩 ほんとうはここにあって、真実はここにはない。 Copyright ゆうと 2008-08-23 19:39:26
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