部屋
小川 葉

 
鏡にうつる
自分を見てる
ありもしない
本を読んで

ふすまが
開く音がして
慌てて
本を閉じる

それでも
気づくことなく
人は次の
ふすまから出ていく

少し
曇りはじめた鏡に
存在という
文字を書いてみる

するとまたすぐに
ふすまが開いてしまう
わたしの存在に
気づかないで

この部屋は
わたしがいても
いなくても
永久に
立ち入り禁止です

また部屋が
しゃべってる
ページをめくる
音がする
 


自由詩 部屋 Copyright 小川 葉 2008-08-23 19:34:46
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