夏へ
服部聖一

海を見ることもない日常と夏日がとぎれなく続き
あまりの終わりない暑さに
もうすぐ夏が終わってしまう
という感覚も続いた

季節は一日で変わることもある
どこかで聞いた言葉だが
ほんとうに一日で変わるものなのだ
朝起きたら
光りと空気が秋になるときがある
気温が37度とか 全くの夏日であっても

実際に この夏の終わりも
ヒグラシが秋を呼んでいるようにも思えたが
この夏いちばんの暑さであった

夏が終わってしまう という感覚が続いて 今年
何かを失った という喪失感にも似た思いで
夕方のサビ色の光りの中の街にいた

私は冷たいお茶など飲みながら
夏の名残のあるシーツを取り替えて
失ったかもしれない
夏のことば について考えている


自由詩 夏へ Copyright 服部聖一 2008-08-22 01:51:21
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