よく晴れた日に
千波 一也



よく晴れた日に
おまえは旅立ったから

空に
おまえを探して
けれど、見つからなくて
わたしはなおさら
寂しくなった


 道ばたの
 すこし汚れた草たちが
 いつかの昔とよく似て揺れる

 空はあかるいから
 いつまでも、いつまでも
 わたしは思い出してしまう


よく晴れた日に
おまえはいってしまった

それはおそらく
幸せなことだろう

こころよく
すがすがしいのぼり道を
おまえは駆けてゆけるから


 わずかな雲間から
 おまえが顔を出しそうで
 わたしはいくたびも
 見上げたけれど

 もう、おわりにしなくちゃね


よく晴れた日に
おまえは旅立ったから
わたしはわたしを生きていこう

おまえが残したあかるさで
わたしはわたしを
照らしていよう


ありがとう、の代わりに

ただただ
ありがとう、の代わりに









自由詩 よく晴れた日に Copyright 千波 一也 2008-08-20 13:14:09
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
【親愛なる者へ】