砂のある風景
パラソル

一粒一粒を
じっくりながめて行くと
一粒一粒が
独立した岩石であることに気付いた土曜日


砂漠化の影響は都会にも広がっている。
あなたの近所にも小さな砂漠がある。名を砂場という。

今日も小さな子供が、2〜3人で砂山をつくっている。
その砂の面積が年々大きくなっていることに、
どれほどの大人が気付いているだろう。

公園は明らかに砂漠に侵食されている。
砂は、独立して、動く。
そして、しだいにジャングルジムのすそをおおいはじめる。


我々は生まれた時、例外なく、
ある映像を記憶の中に埋め込まれる。

画面にショベルと大きな足のアップがうつる。
ショベルは、透明な川にせっせと砂を投げ入れている。
川は灰色に埋まってゆく。

この記憶がなくなっていった者から、順ぐりに、
ショベルで砂を投げ入れる事ができるようになる。

記憶がいつまでもなくならない者は、
学校で強制的にショベルの持ち方を訓練される。

こうして、公園の砂漠はつくられる。



点在する砂漠は、円形脱毛症のように広がり続ける。
あなたの目の前で、音もなく、植物のようにゆっくりと広がる
その者たちは
かつては、人工的につくられたものだった。
かつては、長方形のフレームの中に収められた 箱庭だった。
かつては、意志を持たなかった。


砂に埋もれたジャングルジム
砂に埋もれたビルディング
砂に埋もれた人間
砂に埋もれた砂漠


そして、
見苦しく青かった、わたしたちの世界が
美しい砂浜へ集約される。
どこまで行っても 

海は無い。


自由詩 砂のある風景 Copyright パラソル 2008-08-18 22:07:34
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