カリカチュア・『シンメトリカルアトラス』
しろう

朝焼けが
虹彩から奥を焼く
明らかな
明日に
確信が持てないから
夜を
終わらせずに
朝焼けの夜を
産んだ

ここは
降りる駅を寝過ごしてしまった
風景に似ている
生まれた日の
記憶みたいに
うすぼんやりとした
苦しみ

違和感

ルービックキューブは
ひとつの面も染められぬまま
本棚の奥で
苛立っている

字引を
めくっても
あの文字が
見あたらない
一番最初のページに
赤い傍線を添えて
おいたのに
誰が
破り捨てた?


身体が
西に傾いてる


消しゴムの
カスのように
ひねりあげられた
時間を
切り刻んでは
再び
蒲鉾のような
消しゴムにする

星の端っこで生まれ
星の中心に向かう
エレベーターの中では
目眩を覚えずには
いられないから
すべての階の
ボタンを
押す

僕は
どんな罪に
見つめられても
僕が
罪を告白する
必要はない

いつも
映し出される
姿見に
あかあかと
胸の
ひまわりが
さらけ出される
から

ハロー
セイ
ハロー

僕の
イミテーション






自由詩 カリカチュア・『シンメトリカルアトラス』 Copyright しろう 2008-08-16 20:24:47
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