爪過去
愛心

爪を《凶器》として生やし始めてから
何年どれくらい経つだろう・・・





爪を噛む癖を口実に
苛められ始めたのが小学校4年生の頃だった





あたしの本名は消され
代わりに
欲しくもないあだなを貰った

黴菌 モドキ 糞 ブス デブ 馬鹿


あたしの触れたものは
誰一人として
触れようとしない

手が腐る もういらない 菌がうつる


あたしのいれた給食は
一度戻されて
いれ直された

放課後遅く
《注意》という名の《罵詈雑言》を浴びた



いつだって
独りだった










あたしは《死》と近くなった










冬は小刀を袖に隠した

一言でも
傷つくことを発されたら
刺すつもりでいた



中学になって
ましになって
それでも



恨みは消えなかった



大好きな友達もできた


そのかわり
あたしは《男子恐怖症》になった



同年代の男子とは
どうしても
嫌でも
一瞬でも
恐怖が駆け抜けた



特に固まって歩く彼らは・・・








体力をつけ
自分を守る術を知った



そして

あたしの指には
つけ爪の下には





異様に尖れた爪がある





何時か いつか

これで
あたしに傷をつけたことを
忘れかけているあいつらの
首を
切り裂いてやる

















あいつらに
会う



前日



あたしは爪をテーブルに擦った

深々と出来上がる




砥ぎ直し 尖らせ
つけ爪を被せる

あたしは笑った







声を上げて笑った










嬉しい
やっとあいつらに復讐出来る







なのに







あたしの頬を流れる

冷たくて熱いもの

枯れるような喉の痛み








携帯から流れる
大好きな歌手のメロディ







貪るように開けば

大好きな友達の名前

明日、遊び行こう(≧▽≦)


簡単な文面

暖かな言葉の連なり






揺らぐ視界のまま
アドレス帳を開く

















全アドレス 58件


















涙が震える 音がした





あぁ・・・

今 気づいたよ

馬鹿だから遅かったけど

それでもやっと気づいたよ


あたしにはもう

この爪は必要ない


あたしの心は

《復讐》するほど

もう 飢えてない











あたしはつけ爪を剥がし

《凶器》を深爪に











これでよかった

ずっと こうしたかった









あたしは
ヤスリとつけ爪と《凶器》を
ゴミ箱に投げ捨てた









あっけない












くすりと笑い
友達にメールを返す








いいよ!何時にどこ行く?(’U’*)











自由詩 爪過去 Copyright 愛心 2008-08-14 18:12:13
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創書日和、過去。