黄色い檻
アオイリョーキ

どこもかしこも黄色い
広さもわからない
究極に狭いのか
それとも無限に広いのか

ここはどこだろうと隣に座っている人に聞いてみる
問い掛けた後で気付いたが、
その人はただ座っているだけではなくて、眠っていたので
私の問い掛けには答えてくれなかった
聞こえてもいないだろう

自分の手を目の前に持ってきて開いてみる
何も見えなかった
きっと、檻の中にいるうち
私も黄色に染まってしまったのだろう

濃淡がない、まっ黄色のなかで、隣の人は眠ったまんま
ここはそういうところかもしれないと思ったので
私も眠ってみる事にした
目をつむった
眠った気がしたので目を開けたら
隣の人はいなくなっていた
その人も、私と同じで黄色に染まってしまったか
ここからの逃げ方を学んで
とびたっていった
どこから?

黄色をずっとみつめている
いつからかわからない
たぶん、一人でいる事とみんなといる事の境目が
曖昧になってしまってからだ

私が細かく振動している気がする
もうすぐ生まれる気がする
もうすぐ散るような気がする
もうすぐ飛べそうな気がする
もうすぐ溶けるような気がする
もうすぐ誰かも分からなくなるような気がする
もう実は全部そうかもしれない
全部一緒かもしれない
黄色の中で
生まれて散って飛んで溶ける
そして
誰かもわからなくなるのだ

格子のない檻の中で
手を伸ばせば何かに触れるかもしれない
けれど私の手は
もう私には見えないから
もうこのまま
自分が誰かも分からなくなるまで待って、
この黄色に溶けきるまで待って、

きっとその頃には
作り終えられていて

そう
ここは最後の心臓
ここからとびたつくらいなら
溶けてしまった方が
いくぶんも、幸せだ


自由詩 黄色い檻 Copyright アオイリョーキ 2008-08-11 20:29:49
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