遍在する 耳
ななひと

深さ が 粉末 となり、平面 に 降りつもる朝、
夜のあいだ、萎縮を続けてきた 重い線 は、
あちこちで弛(ゆる)み、細長い悲鳴の波は 重なって、
少しずつ、解放され、広がる。

聴く 耳 は、あちらこちらに、遍在し、
位置によって、重なりを変える 波 を聴きながら、
自身も 波 に寄り添い、流れ、重なってゆく。

重なり としか 呼びようのない 風景

深さ の 粉末 は、しっとり と
降りそそぎ、巡り、包みこむ…。


自由詩 遍在する 耳 Copyright ななひと 2004-07-22 00:53:12
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