あける
佐々木妖精

ドラッグストアでゆらゆらと
68円のうどんを買うのに
他意はない
飲むゼリーを抱え
プリンはフェイント
アイスノンを手に
解熱剤を咥え
マスクを身につける

階段にうずくまり
目だけ動かして時計を読む
ファズギターは聞こえない

痛みから逃れる道に
注射針とかドリルとか
繁っているのに他意はない
衛生兵の落下傘部隊が
ボタボタと消毒液を掃射し
鉄臭い焦土をふふるわせる

他意はない
硫化水素に他意はない
呟いて顔を隠す
見上げた空が明けていて
眠りはますます遠ざかり
悲鳴の連鎖を押し殺す

歯石をとりにきたんだ
あるいは
女医さんが美人なんだ
もごもごとああそう叫びでもしなければ
ここにいる目的など隠しようがないじゃないか
口を開けたら全てがバレる
痛いのは嫌だ
もう宇宙から飛 
      び    
      降   
      り   
      て   
      や
      ろうか。           


自由詩 あける Copyright 佐々木妖精 2008-08-08 00:24:59
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