不幸な時代
青い風

I君は言った

貴方の右目は本当だが
左の目は嘘をついている


 I君 君は正しい
 私が語ったことは
 心底そう思っていることで
 私が喋ったことは
 受け売りだった


I君は言った

あの1週間は長かった
1週間が1年のように感じた
僕は何も知らない田舎者だった
この1週間でずいぶん成長した
成長しすぎたことが
僕は怖い


 I君 君は正直だ
 正直すぎることが
 君を苦しめているんだね
 しかし 不幸なのは私達だ


自信満々の
看護士たちに連れられて
君は休むべく
金網の中に去って行った


 君の休むべき場所が
 この世界にないことが
 私には 悲しい


自由詩 不幸な時代 Copyright 青い風 2008-08-07 21:59:20
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