一年に一度だけ
小さくて大きなお祭りがある

それは真夜中に行われる
ひっそりとした　お祭りだ


　　男も女も大人も子供も
　　じいちゃん　ばあちゃん　寄っといで

　　忘れちゃいけない
　　ねこちゃん　わんちゃん　金魚も　ギョ

　　みんな　みぃんな　丘の上に　集まれ　集まれ


今年は綺麗に晴れた夜の空
さぞかし星が綺麗だろう
その丘に何十ものドラム缶
そこにひたひたの水

　　ピュ〜ッ
合図だ


　　星水（せいすい）様　星水（せいすい）様
　　今夜は皆の体を清めてくださいませ。
　　星水（せいすい）様　星水（せいすい）様
　　明日いいことあるかいね？　あさっていいことあるかいね？


祈るみんなで祈る


　　　　　　キラ　　………………☆
　　………………☆　　キラ


　　そろそろだよ　空を見て

流れ星
たくさんの流れ星

それは水のように滑らかな流れ星で
水面に　映っては消え　また映る

星が水を清める

ドラム缶の水にちゃぽん
そっと浸かって空を見た

流れ星が増える
どんどん流れる星は
本当に水のようで
星水（せいすい）様と呼ばれ　尊ばれているのだ


　　そろそろ体も清まったかな
　　みんな帰ろう


清めた水は川へ還して

みんなずぶ濡れのまんま
家へ帰ってく


　　ひたひたひた
　　ひたたたたた
　　ぴょちぴょち
　　きゅっきゅっ
　　ざばばざばば
　　それぞれひと
　　ひとそれぞれ


これは一年に一度の出来事
水のための夜