夢の番人
白糸雅樹

「夢」というのは
なにかうつくしいもののことだとおもっていたよ
なにかたいせつないとおしいもののことだとおもっていたよ
理想のことを夢と呼ぶのだとおもっていたよ
 
守らなくてはいけないのは
夢が外部から損なわれないようになんだとおもっていたよ
 
夢というのはひとをささえるものだと思っていたよ
ボクの役目はかよわい夢がひとをささえられるよう守ることだとおもっていたよ
 
幼かったボク
 
ごめんね
 
眠りに落ちるたび必ずこんなにも君がおびやかされるなんてしらなかったんだ
夢におびやかされて逃げて逃げてそうしないとねむれないなんて
ボクにできるのはせいいっぱいそこに立っていることだけで
なんて無力なボク
幼かったボク
 
夢の番人のしごとは
この世のあらっぽすぎる指から夢を守ることだけじゃなかったんだね
夢から、夢を守って戦わなくてはならなかったんだね
夢から君を守らなくてはならないんだね
 
眠りの国の怪物と戦い
安心して休めるしげみをみつけて
そこにいる君がおびやかされないよう見張りつづけなくては
君を護れないね
 
気がつかなくて、ごめんね
 
おやすみ
 
                 2004.07.21
}参考:夢の番人(ラングストン・ヒューズ)


自由詩 夢の番人 Copyright 白糸雅樹 2004-07-21 19:38:21
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