あの時の海は
パラソル

ピンク色の海が束になって襲いかかる。
週末に、自転車で見た
青空のうしろで、まだら模様になっていた。
緑の岸壁が、コブのような波を受け止めて、
ピンクをばらばらにしていた。
濱にはサメが打ち上げられ、シーラカンスのような足がついていて
歩きながら人を食べていた。
ゼロ戦を意図的に墜落させる若者がいた。
サンゴが砂浜の砂漠に生い茂っていた。
遠くにドイツ製の廃虚が見えた。中でやきそばを食べる人がいた。


こわれかけたバンで、もう一度あの光景を見たいと思って
瀬戸内海に行った。
つまらない緑色の海がおだやかにひろがっていた。
これはこれでいいかもしれないと思って、ビーチパラソルを用意した。


自由詩 あの時の海は Copyright パラソル 2008-08-05 00:45:38
notebook Home 戻る  過去 未来