七月
あおば

              080731



7月

おそらくそれは
無理でしょう
声にして言ってみる
ひとりごとのような声が漂って
少し狼狽える
神奈川県横浜市青葉区
おどろいた顔の
うたぐるような目が
偶然だと信じたいが
暗合の可能性は
捨てきれない形で保存される

早朝 遠くで
カナカナゼミが鳴くので
7月が終わると
本当の夏がやってくると
信じていられる





ひみつ

テレビの時間が過ぎたので
50円玉の穴を利き目に当てて
見えなくなった世界を覗く
50円玉の穴から見える世界
5円玉の穴から見える世界
どちらも同じようなものと思っていたが
50円玉の穴から覗いた世界が本物で
5円玉の世界は玩具なのだと諭された

5円玉でコンビニに支払う消費税
ありがとう 助かりますと好い気分
本当のことを言いますと
1円玉だっていくつも持っておりますが
それはわたしのひみつです





うごくうごめく

2等辺三角形を
2つに切った
なんという酷いことをと
思ったが
制止しない
切られたままの三角形
三角と四角に分けられたまま
紙の上では動けない
分割しても総面積は変わりません
解答用紙の切られたままの三角形は
紙がそこにある限り切られたままに
うごめきもせずうめき声も立てぬまま
無様な姿を曝し
恥ずかしくて世間に顔向けできません






自由詩 七月 Copyright あおば 2008-07-31 02:14:12
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