夜のこども
笹子ゆら

真夜中に子供は眼を覚ます、
覚醒する、息を止める
父親も母親も
今日はもう眠りについていた
いつもはもっと遅くまで
呼吸を荒らげているというのに

しん、と耳の中でなにかが残るような気がして
時計を探したが、見つからなかった
がさこそ、と音がしたので眼を凝らしたが
窓から風が静かに入ってきただけだった

大人の時間でも、
子供の時間でもないその空間は
幼心をひどく刺激させた

誰もこの世界にいないような錯覚を、得て


真夜中に子供は眼を覚ます
あの時のわたしは酷く純粋で
そして、あやうかった

待っていたのだ
ハーメルンの笛吹きの話のように
連れて行ってはくれないかと
怖いくせに
別に不満やなにかがあるわけでもなく
ただ


子供でもなく大人でもないわたしは
未だ、酷く惹かれていることに気が付いてしまったのだ



自由詩 夜のこども Copyright 笹子ゆら 2008-07-31 01:42:03
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