東京
rabbitfighter

花の都
水の都
霧の都
東の都

東京を愛することと、孤独を愛するということは
同一である
という意見に賛同しない
猫を愛することと、孤独を愛するということは
同一である
という意見にも賛同しかねる
おれは東京で一番ゆっくりと歩く人間で
手をつないでいないと彼女は先に行ってしまう
北海道生まれの彼女
今はもう、恋人ではないけれど。

緊密さと親密さは、均一ではない、だから、
平均値で俺を図るのはよせ、

東京、吹く風に命はない
東京、降り積もる落ち葉が腐敗しない
東京、生まれ変わるために殺し続ける
季節ははじめコンビニにやってくる

君のことを思っている
いつも、君のことを思っている
君の笑顔を、そして時々、裸の君を
手をつながなくても、同じスピードで歩いてくれる君を

ようこそ東京へ
木漏れ日の降る街へ
雑踏の賑わう街へ
立ち並ぶ街路樹はみんな音叉
高層ビルはただの目印にすぎない

東京を愛することと、孤独を愛することは
同一ではない、が、
孤独を愛するように、東京を愛している
そして、
君のことを大切に思っている
それから、
かわいい俺の、去勢された猫たちのことを思う。


自由詩 東京 Copyright rabbitfighter 2008-07-29 23:46:48
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