夕病み
楠木菊花

終わりが始まりを招くの
君の傍らにいないことが
淋しくないと思えるようになったから
この場所からはもう何もはじまらない

死んだ空間に蹲る
君の歪んでいくさま
あたしの崩れていくさま

痛みを忘れたときに向う場所ってどこ
悲しみを忘れてから向う場所ってどこ

あたし君のこと好きだよ
(少なくとも)君を殺すより先に
あたしが死んでみせたくらいに

はじまりが終わりを招くの
終わりを恐れるようになって
はじまることがなくなった生活
だからここからはもう何も死なないの

生きた時間で意識する
あたしの創り出すさまと
君の失っていくさま

痛みを忘れたときに向う場所ってどこ
悲しみを忘れてから向う場所ってどこ

あたし君のこと好きだよ
(少なくとも)君を殺すより先に
あたしが死んでみせたくらいに


自由詩 夕病み Copyright 楠木菊花 2008-07-24 21:59:40
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