環情線
Rin K
すこしだけ怖いことを考えたくて
夢の中で君を消した
白い朝がやってきた
さよならが乾きたてのころ
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机の上に散乱する単語帳
角が折れてめくれてゆく
覚えることと忘れないことの間で
ひとつづき震えた夏
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君を描こうとすると
いつも同じような色ばかり並べてしまう
それくらい君の
背景は海だった
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嘘みたいに晴れて
壊れたように笑って、それから
どうして私たちは死ぬのだろうって
秒針を止めて呟いた君が
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水平線をなぞった指先の青で
君に会いに行く
それだけでよかった
七月はただ熱く
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眩しさで砕け散った世界は
確かめようのない手探り
海岸のさいはては
尋ねない八月
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砂にまみれて
日々を転がって
直線はいつしか
轍になって
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花びらを剥ぐように裸になる
そしてまた、ことばで水をやる
それが造花だって
本当は知っていても
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本棚から地球儀を出して
撫でる、けれど
どこにもいない 僕は
誰を愛していた
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すこしだけ怖いことを考えたくて
夢の中で君を消した
白い朝がやってきた
さよならが乾きたてのころ
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乗り遅れた夏は
僕を連れて行かない
君の背景の
海にだけはもう