迷走アイデンティティー
つぐこ

 おばあさんが今週入院することになった。
聞いたのが今日の九時くらいに突然言われた、
一言でいうと、寂しくなるなって思う。

寂しいなんて言葉ではないけど、もっと複雑だけど、寂しいって言葉に行き着く。
週に何度もかつおの刺身を買ってきたり、何度もボイラーと間違えて電気を消していた、
何度も酒を買いに行こうとして、親にまだあるでしょと言われた本数四本、
買った酒の数さえ忘れてしまうほど、ぼけてしまった。

そんなおばあさんが、入院する。
親が医者に頼んだらしい、アル中だから医者も諦めているが、
家の中が崩壊しかけているので、
病院に入院させるとのことだった。

これって、切ないよね。
今になって思う、
もっと優しくしておけばよかったなって、
ぼけかたが半端ではないけれど、悪態しかつかないけど、そう思った。

この頃、ここを見ていて思う。
ここは特殊な場なんだろうか、
人の意見を気にするといけないって空気が流れているように思う、
そういう世界がいいなと思うけど、みんながみんなそうだったら豊かになっていたのか。

プロフを作った知り合いがいて、見せてもらった。
尊敬する人、後藤まり子と書いてあった、
あたしは、はてなマークが頭上に浮かんだ、
理由が自分をもっているだったからだ。

自分をもっているってなんだろうねってメールで聞きたくなった。
自分をもっているの定義を教えてと、
それが全然分からない、
インタビューとかで沢尻エリカのことを自分をもっているって言った若者にも聞きたい。

ここで書くうえで、少しだけ参考にしているのは後藤まり子だ。
ようつべで泣きながら愛してるで!!って言ってたのが印象深かった、
そんなところが、後藤まり子って人を肯定させたんだろうなって思う、
あたしは、坂本慎太郎の方が好き。

ギターが弾けたら後藤まり子になれるかもなんて一寸も思ってはいない。
でも、世界は広くなるだろうなと思う、
後藤まり子がなぜ魅力的なのかを論文として作成したら面白そうかもしれないけど、
多分わからないから煮詰まるな。

ギターが弾けない後藤まり子にみんな興味があるのだろうか。
それ以前の後藤まり子はどんな扱いをされていたんだろうか、
それが疑問、
あたしは、自分をもっていないのかもしれない。

迷走するアイデンティティー。
媚びたりするような文章は書きたくないけど、
あたしは散文のカテゴリーでは一番かっこ悪いと思うし、自覚はしている、
かっこ悪ければかっこ悪いほどかっこいい世界もあるかもしれない、
そんな世界を見る前に、くたびれて世間の波に揉まれて飲み込まれてしまう。

この頃思った。
こんな文章はもうこの時期しか書けないんだなと、
もう、二度と同じ感情では文章を書くことはできないって、
もしできたとしたら、それは幸福なんだなと。

迷走アイデンティティー。
正義と悪が歪む、
周りに正義と認められない限り、正義とか正しいとか認められない、
みんなが信じていることが、悪であるかもしれないのに、
本当におかしいね。

目のできものが、治らない。
薬を飲まなくてはいけない。



散文(批評随筆小説等)  迷走アイデンティティー Copyright つぐこ 2008-07-15 01:53:43
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