波と黒の犬
たりぽん(大理 奔)

太陽だけが焼く砂丘に
裸足で踏みいる
私という存在に影は現れたが
大きな耳の黒い犬が居た海の家は
まだない

   深雪に分け入るようだ
   試みの生はなく
   試みの死もないので
   もう会うことはなく

鏡が透明でいられるとしたら
とうめいなものをうつすとき
青空を盗んだら鳥は森へ帰る

映らないものを探しに行く
足跡は残るだろうか
僕の歩く波打ち際に




自由詩 波と黒の犬 Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-07-14 08:23:22
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