「セミダブルベッド」
ベンジャミン

六畳一間のアパートに
むりやりつめこんだそのベッドは
ほかの家具の置き場をうばって
ずいぶん偉そうに横たわっている

そんな君が風邪をひいたというので
お見舞いにいったのだけど
座る場所さえない

しかたなくベッドの端っこに座って
とりあえずおでこに手をあててみる

微熱、なのかなぁ、たぶん、くらいしか
わからないのだけど

そんな君がちょっと辛そうに咳をして
お見舞いにきただけの僕はというと
どうしていいかわからない

お薬は飲んだの?ってきくと
効きすぎるから半分だけ

半分残ったお薬を
いっそ全部飲ませてしまおうかと思った

そんな僕は中途半端なやさしさで
それじゃぁ風邪もなおらない
そう思ったから

君の咳がおさまって
君が少しだけおだやかな顔で眠りにつく

それまで
少しだけやさしい眼差しで
君を見守っていよう

この部屋には大きすぎる
セミダブルベッドの端っこに座って
もう一度おでこにふれてみる

君が少しだけ
おだやかな顔で眠りにつくまで


自由詩 「セミダブルベッド」 Copyright ベンジャミン 2008-07-10 04:37:08
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