ハンバーグの誘惑 
服部 剛

家の近所のファミレスで 
ずーっと本を読んでいた 

顔を上げるといつのまに 
店の外の世はふけて 
店内に客はぎっしり 
がやがやと賑わっていた 

テーブルの間を
小走りする 
幾人かの店員達 

そういえば 
頼んだハンバーグステーキが 
いつまでたっても来やしない 

向かいのテーブルの空席は 
食後の皿が散乱してる 

小汗を流す店員の青年は 
「お待たせしましたぁ〜」と 
テーブルに鉄板を置いた 

さぁ食べようと思ったら 
ナイフもフォークも置いてない 

(おぃおぃお願いしますよ)と 
いちゃもんつけてくなってもみたが 

小汗を流し 
テーブルの間を小走る青年が 
なんだか日頃の自分に思え 
小言こごという気も失せました 

あぁ眼下には 
鉄板の上に置かれた 
焼きたてのハンバーグが 
やけに嬉しそうに 
じゅうじゅう何かをいってます 





自由詩 ハンバーグの誘惑  Copyright 服部 剛 2008-07-06 21:53:01
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