『あるこーる』
東雲 李葉

ふわふわ、空も飛べちゃいそう。
視界が水であふれちゃったわ。
触れば全部弾けちゃう。
泣き腫らした目でこっちを見ないで。
あたしが悪いみたいじゃない。
誰も咎めたりしないからもっと優しい顔をして。
子守り歌をも一度聴きたい。
君がいるから大人がいいのに。
じわじわ、異常に上がる熱。
見えない糸に吊されたみたい。
あたしは、なんで、生きてるのか、とか、
意味が全部流れていく。
のどまで出かかる固まりをぐいと奥まで飲み込んだ。
泣きたいくらいにえぐくって焼けるみたいに酸っぱい味。
君がしつこく貼りつくから肌が邪魔で仕方なかった。
破けてこぼれて交わっちゃえば甘いものになれるのに。

グラスに注いだその液体は
甘くて苦い飲み物だった。
ちょっと大人になれた気がした。
笑うと君がもっと笑うから、
もう何でもいい気がした。
ぶよぶよ、視界が水であふれて、
殻が破れる音がして、

きみがあたしにとけ、こ、んだ。


自由詩 『あるこーる』 Copyright 東雲 李葉 2008-07-03 15:21:40
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