「雌」
長谷川智子


―幾年も思い浮かべる蓮の根を身篭りたいの貴方のだから


「ランティルディ」を纏う真夜中
ひねた顔した満月
薄汚れた監視カメラに写るほのかな人影
部屋の中でキー置く音が響く
すかさず口にもってく煙草
それをゆるりと遠のけ口を塞ぐ
噛んで含めるアレ
触って吸えるコレ
からだのすみずみが艶めく煌めく
体のなかの稜線が溶ける感覚
そこまできてる

しまりのない寝顔を見るたび
こいつので身篭りたい
とみに想う
その頭を抱きながら
まことに無責任な劣情でメルト
やっぱあたしくるくるぱーだ
懲りてないや
愛なんてどこにあるんだかわかんない
けどこの子は可愛い
だれにも渡したくないくらいに

(相手がうたたねさんなら良かったと思う午前3時)




自由詩 「雌」 Copyright 長谷川智子 2008-07-01 17:16:21
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