枇杷
よしおかさくら

わたしはまだ熟していませんと
果実が云っているのに

かまわないよと
あなたは嬉しそうだ
故郷の味なのだろう

枇杷は好きじゃない
けれどそれは枇杷も
知っているようだ

わたしは熟しません
熟さないのです

皮のするすると剥ける断固とした主張で
大きな種を飲み込んでいる


自由詩 枇杷 Copyright よしおかさくら 2008-07-01 09:28:35
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