空に浮かんだ溺死体
遊佐



晴れ間を見ることもない季節の真ん中で、
僕は、一人、
梅雨の空の底に沈んで
ゆらゆらと漂い、
腐って行く。


空に浮かんだ溺死体、つつく魚もいない。


途切れない雲は
灰色の、鈍色で、
痛みや、絶望とは無縁なのに、
朽ちて行く魂には相応しい彩りで、

透明で清涼感溢れる
夏空の青や、
雨の終わりに輝く虹の七色には届くことない僕の、彩りとなる。

ぷかぷかと
空の底に浮かぶ溺死体
見上げれば、宇宙
見下ろせば、地球があり
僕は、世界の外に
魂と、肉体を切り離し漂う

身体は、
今日も、
アスファルトの上で腐りもせずに、
無味無臭のまま
置き去りに、



魂だけが、
途切れない雨の底、
空を漂う。




自由詩 空に浮かんだ溺死体 Copyright 遊佐 2008-06-29 23:49:32
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