#response
地水火風って言うけどやっぱりむかしのひとって馬鹿なんじゃないかと思うだって火だけ仲間はずれ
つめたい地面
あたたかい水
つめたい風
あたたかい火
次にベッドを買うときは
やわらかいのがいいわ、だって硬いのじゃ起きられないでしょあなた意思が弱いんだから
眠ってるあいだに深く沈みこむの深く深くそのまま一晩かけてベッドが
押し上げてくれるようにあなたの身体を朝までかけて
ゆっくり
ね
#morning
ここ数日は肩甲骨のあたりがずっと痛く陽の光を受けるとなおさらなのでなるだけ外に出ないようにしているが生きていくためにはそうも言われずせめて仕事場までは日陰を通り歩く。暑い日でもスーツを脱ぐわけにもいかず歪んだ背骨の両脇の筋肉を時折撫ぜながら地下鉄に乗るとようやく安心するのだ。座席は硬く私を真っ直ぐに固定し正面には無数の人が順繰りに視線で私を保ってくれる。私の後ろには窓がある。しかしそれは私とは関係しない。
#むかしのこと
いつだったか
母の
空いたグラスに焼酎を、すこし、注ぐと
「あんたも
いつか、なんとかしてこの人だけは
守ったらなあかん、ていう人が
できるかもしれんし」
と
呟いて
グラスでは
生ぬるい酒が
氷と、汗をかいたグラスとに囲われて
ぴしりと緊張したのだが
母もまた
グラスに口をつけぬまま
床に入ってしまって
夏の夜に、ゆるく解けた酒を
流し込んで
胃の中で
ぬるく
燃え
#metafiction
あたたかい地面
つめたい水
あたたかい風
つめたい火
死んだ友人に手紙をかいた
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=158668
声に出して読む、と
口に出したさきからぼろぼろと崩れて
舌の上にすこし灰が残っただけなのだった
#さいきんのはなし
もう言うべきことなんてさ別になにもないよなあ、彼はジョッキを傾けながら自嘲気味に呟く。真昼、商店街の擦れたバーではテレビから野球のデイゲームを垂れ流していて、棒に球が中るか中らぬかでその店はなんとはなしに浮いては沈みを繰り返していた。そして彼らの信心深さも甲子園球場で奮戦する男たちには届くはずもなく、643のゲッツーに倒れたバッターの駆けたあと、砂埃のように溜息が立ち昇り、その生ぬるい風は一杯のビールを空にして、ついでに僕にとっての言うべきこと、も、ついでに掻き消していくのだった。蝋燭をひとつ吹き消すように。
#reflection
ただ
やすらかに、やすらかに、とおもい
なにごとにもおどろかないように
よくよく準備して家をでると
うけこたえはずいぶんらくちんで
だまっていればはなしかけられないよ
そしてそれがさみしいのはあたりまえなのよ
そう
きにするほどのことではなくあたりまえの
かぜのおとにぞおどろかれぬる
雑草とよばれるくさいきれがゆれて
ああ風がふいたのねとわたしはおもい
そのうごきにゆだねてわたしは
ばねのちからでゆっくりともどり
べつだんなにもなかったようにすんとすまして
雑草とよばれるくさいきれがのびて
かりとられることをそうぞうしながら
そしてそれがさみしいのはあたりまえなのよ
もうなにごとにもきょうみがありすぎたので
ないことにしておけばずいぶんらくちんで
ただいまは
やすらかに、
やすらかに
わたしの後ろには窓があり、
彼女の後ろには硬い板があった。
彼女は空を眺めたままなにも答えず、
わたしは天井を仰ぎ見ると窓から転がり落ちてしまった。
次にベッドを買うときは、
#くさはら
わたしは打ちつけた背中を払い、
ゆったりと波打つ丘陵をなぞった。
まだ青い薄野をみながら、
唇で噛み潰した、
つめたい火もある、
と、
そのことを、
摘み、
#reflection(eternal)
かえりみち
を
たどる
あしどり
の
かるさは
はだしの
じめん
はねかえる
ゆうぐれへ
つめたく
けしていく
かぜ
を
はうように
しずく
たった一人守りたいひとも失ってしまっても道は続く。誰かと繋いでいた手はちぎれた途端に振り子として身体を前に後ろに揺さぶっている。踊らされながら足は縺れしかし身体が倒れることを拒むように肩を出しまた歩みは進んでしまう。平熱を保つ体温の冷たさ。記憶を燃やしてゆく視界の涼しさ。消し忘れた軒火のなまぬるい粒に引き寄せられて虫の軌道のたどたどしさ。燃やそう。零下の胃袋に放り込んで。燃やそう。凍てたまま動かない涙を。燃やそう。遠すぎて消すこともままならない日まで歩いて行って耳の後ろ。頭蓋が冷たく。ほどけて
#あとがき
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=83878
#誰の道にも
#つめたく終わっていく
#すじがきと
#その速度で肌を撫ぜる
#流れと
#それから
#どこにも届かなくてもよい
#ことばと