公園にいない
A道化





最後の人が飛び降りたまま
裏返ったブランコの鎖が歪に静止している
翌日になれば元に戻される、それだけのこと
わたしは、もうずっと公園にいない
だから知らない


ブランコを飛び降りた人の大半は
それ以来何処からも飛び降りずにいる
来なくなった誰かの為、遊具は
しばらくはあどけない高熱を保つ
けれどそれも、夏がひとつ終わるまでのこと


わたしが裏返したブランコは今また裏返されて
それが何度目なのか誰かに数えられることもない
翌日になれば元に戻される、それだけのこと
わたしはもうずっと公園にいない
だから、知らない



2004.7.15.


自由詩 公園にいない Copyright A道化 2004-07-16 05:42:11
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