ビスケットボール
RT

秘密基地を確保したくて
テキトーな名前を書いて申請を出した
球技かなんかと勘違いしたのか
あっさりと申請は通った

かくして我々
「ビスケットボール同好会」は
授業の合間や放課後の
憩いの場を得たわけなのだが
いかんせん学校公認の会なので
活動をしないわけにはいかない

男女混合
たいして運動能力もない
テストの成績も中の上
ごくごく平凡な我々に出来る
ビスケットボールとは
いかなるものなのか

購買で買ってきたブリックパック片手に
だらだらと放課後の会議
漫画を読み始める男子たち
マニキュアを塗り始める女子たち
そんなんでどうやって決まったのか
ビスケットボールは
誕生した、らしい

そんな青春の日々も眩しい
あれから何十年経ったことだろう
老いた私にたびたびお呼びがかかる
ビスケットボールの創始者だとか
偉そうに大会の挨拶をさせられたりもする
そもそもビスケットボールとはなんだったのか
学校に同好会申請書を書いた妻に聞いてみても
曖昧に笑ってはぐらかすだけ

あの頃もよく焼いてくれた
マカロンとかいう焼き菓子を持って
キッチンから妻がやってくる
若かった私は
こんな洒落た菓子は食べたことがなく
最初、プレゼントしてくれた妻に
照れくさく
なんて言って茶化したんだっけ




ポエニーク内 即興ゴルコンダより
(2008/06/25(Wed) 04:54:56)



自由詩 ビスケットボール Copyright RT 2008-06-25 05:07:43
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