夜光虫夜想曲
海里

光る海水を
インスタントコーヒーの空き瓶に入れて
持ち帰ったことがあります

バスとフェリーと電車を乗り継ぎ
丸一日かけてたどり着いた真昼の部屋で
虫たちは光りませんでした
何をしてもどうやっても

けれども夜に
また水をかき混ぜてみたとき
青い煌き
青い青い青いフラッシュ

細胞ひとつの身のうちのどこに
夜と昼とを計っていたものか
待っていたわけでもあるまいに
自分たちのターン

giusto sotto voce, 正確に
ひそやかな声で
ノクティルカ
夜光虫たちのノクターン


Noctiluca miliaris は代表的な赤潮生物。ですので日本の海に極めて普通。



自由詩 夜光虫夜想曲 Copyright 海里 2008-06-24 23:16:54
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