ヒミズ
大覚アキラ

心の闇
なんていう安っぽい言葉ひとつで
人殺しの気持ちを説明できた気になるなよ



薄っぺらなプラズマテレビの向こう側で
薄っぺらな現実が不意打ちみたいに暴発する

眩しい
眩しいよ
こんなにも眩しいのに
この光は何も照らさない



他人事ではない

という言葉は
いつでも安全地帯から発信されている



サイレンが
遠くで鳴り響くのを聴きながら

他人事ではない

という言葉を
プラズマテレビに向かってつぶやく



この世界には
太陽を視ようとしない生き物が
いるってことを
知っておかなければならない

そんなセリフが
大手を振ってまかり通る世の中だから



プラズマテレビの向こう側には
歩行者天国が
十万光年の彼方まで続いていて



身体中を切り刻んでみても
心の闇ってやつは
どこにも見当たらなかったから
細かく切断してトイレに流して
骨は砕いて
近くのマンションの
ゴミ捨て場に捨てた



百万本のダガーナイフが
曇り空から降り注ぐ

それを
プラズマテレビ越しに眺めながら



眩しい
眩しいよ
こんなにも眩しいのに
この光は何も照らさない


自由詩 ヒミズ Copyright 大覚アキラ 2008-06-21 12:55:13
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