【アルボロ】
檻野楴人






眠れたのだろうか
憔悴した頭は
おぼろげで
ぼろぼろで


眠れたのだろうか
澄みきった空気は
ひとりきり
ひといきれ


くたびれた薬缶の
泣きやまない声が
部屋中を飛び回って
忘れられる日はこない


おんぼろな夜に
ひとつずつ孔をあける
こんな夜の眠れない夜には
手作りプラネタリウムの
神様のきまぐれも
あるのかもしれない


眠れたのだろうか
こんな夜を
俺はひとりで
眠れるのだろうか


過ぎ去った日々は
夢だったかもしれない
神様のきまぐれも
訪れやしないだろう


夢の続きの代わりに
手作りプラネタリウムの夜を
俺に与えてくれたのか
薬缶の鳴り響いていた部屋が
今はしんとしている


こんな日は神様のきまぐれも
あるのかもしれない


あるのかもしれないから

俺に与えられた分を


誰かに






携帯写真+詩 【アルボロ】 Copyright 檻野楴人 2008-06-18 22:59:01
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