あまりにも無駄な逡巡
相良ゆう

不思議なことに気がついた
今日はお昼にスパゲティを食べた
コンビニで売ってるやつ
海老とホタテにだまされて
生パスタに踊らされて

やっぱりコンビにはコンビにクオリティなんだよ
ホタテはお飾り程度だし味だって期待しては・・・

なんて思いつつ
思ったとおりホタテはおいしくなかったなあ
とシビアな評価を下していたら
ひょんな調子で気づいた

あれ? そういえば
即行でまずいって決め付けてたけど
実はあんまり味わって食べてない
おいしいホタテの味を覚えているわけではないし
そもそもホタテをおいしいと思ったことが
あまりないような気さえしてきた??

いやまて・・・
味覚ではなく偏見で味のよしあしを決めるほど
私はまだ落ちぶれてないし 年老いてもいないぞ
確か今食べたホタテには安物特有のあの臭み
口の中でクリームソースよりも自己主張する
あの個性的な臭みがあった
それにホタテを咀嚼したときの感触
歯切れの悪い唇部分は別にしても
貝柱のなんと年老いた食感であることよ
若くて活きのいい ハリ 弾力
そんなものはまったく感じられなかった
そうだ 確かにコンビにのクオリティだった
間違いない!

急に自分の味覚に不安を覚えたから
わざわざ味の回想までしてしまったよ
牛みたいに反すうまではできない
さすがにそれをやったら
毒物も疑わなくちゃいけないしね

あれ? でも待てよ・・・
味覚って結構当てにならなかったような?
特に時を置いて久しぶりに食べたりすると
味覚って変わっていたような!?
小学生の頃になぜか憧れていた
カロリーメイトのチーズ味を
初めて食べたとき
この世のものとは思えぬあまりのまずさに
一口かじって呑み込むことなく
反すうしていたのに
中学生くらいになって再挑戦したら
なんだか意外とあっさり食べれた
そんな感じの曖昧なものではなかったか
味覚というやつは

そうそうこれも小学生のとき
給食で酢飯がでたことがあったけど
何をどうまちがえたのか
ご飯に塩をかけたものと勘違いして
うまいうまいとばくばく食べていたのに
酢飯であることが暴露されるやいなや
あれだけ胃の中に流し込んでいたそれを
見るのすら躊躇するほどの嫌悪感に襲われ
それきり食べられなくなったことも
あったような気がする

酢飯単品で馬鹿みたいに食べていたのが
大いなる敗因であったと気づいたのは
給食が無くなってからだったなあ
腐ってやがる(性根が) 遅すぎたんだ

ということはまさか
私のこれまでのホタテの味わい方が
間違っていたとでも言うのか??
いやしかしあのホタテは確かに
いつもの安物の味が・・・

・・・安物 安物って
これじゃあまるで私の味覚の基準は
安物ばっかりと言っているみたい
あながち間違いじゃないし
はっきり否定できないところが
そこはかとなくかなしい


でもこんなことで泣かないもん
粗食に親しむ誇り高き庶民だもん
でもコンビに弁当じゃあ粗食も粗食
むしろジャンク? 屑食?
あーあ 粗いとか屑とか
蔑む言葉しか出てこないなぁ
これじゃあ誇りもへったくれもないね
あ 甘食たべたいな









自由詩 あまりにも無駄な逡巡 Copyright 相良ゆう 2008-06-16 15:27:57
notebook Home