夜光中
本木はじめ
縁側で闇を見ている妹の白いうなじが僕を呼んでる
夏野山汗ばみながら駆けてゆくゆくえふめいの妹の兄
鉄塔の錆びた階段昇りゆく100階したから姉とは呼べづ
鏡台に映る妹べにをさす午前十二時映り込む兄
僕らにはみえないものを土に埋め水をかけ続けるおとおと
妹が長い黒髪ふり乱し千五百度の熱にほほえむ
姉弟ゆえ触れてはならぬ立葵根深い土中眠る妹
庭先で白と告げしとき着し服を花で葬る黒髪の姉
駆け落ちて汗ばみながら夏の森足踏み入れる蛇の抜け殻
残菊を集め土へと埋める夜あなたの指を忘れていました
夜光虫捕らえし籠を僕たちは川に沈めてさよならをゆう