ふたつの のぞみ
蜜 花
地球は生まれたとき
真っ赤な太陽を見て思いました。
ああ ぼくは あおい ほしに なろう
あおくて きらきらした ほしに なろう
地球は大きくなるにつれて
いっぱいの青で着飾って
ついに青い星になりました
だけど かがみが ありません
色んな青を身にまとった僕は
きっときっと 太陽に負けないくらい
すてきなのに
僕は 僕を見ることができないんだなあ
地球は怒りました。
そして悲しくなって
もっと青くなりました。
いろんな青で自分を飾るのをやめました。
悲しみに暮れた地球は、いつしか
ずっとずっと大きくなっていました。
ある日
地球が顔をあげると、
とても とてもちいさな 生き物が
自分を じっと
みつめているのに気がつきました
とても とても ちいさな生き物が
とても とても ちいさな顔の中に
とても とても ちいさな目を二つ
きらきらと輝かせていました
その目には
青い 自分が 映っていました
きれいでした
とても きれいでした
ぼくは うまれたとき あおくなろうとおもって
よかったんだと おもいました
地球は その小さな生き物が
にんげん という
生き物だということを知り
にんげんが 大好きになりました
にんげんが
地球を
青い地球を
とても愛してくれていることも
知りました
地球は、人間のため
そして、もっと美しい自分のために
もっと青くなろうと思いました
なにせずっと
青く飾ることをやめていたものですから
太陽が真っ赤なように
真っ青ではなかったのです
地球は 自分の 白い部分が
青く変わることを 知っていました
そしてこの部分が
青くない部分を
覆い隠してくれることも知っていました
これが 一番早く 自分を青くする方法だろう
地球はどんどん 白い部分を 青く変えていきます
美しい自分のため
自分を思ってくれている
にんげん のためです
そして今も地球は
にんげん の目に映った自分を
誇らしげに見つめています