0mm漁礁
黒川排除 (oldsoup)

打ち砕く岩の欠片の偶然も打つ

波よ波よ死せばただならぬ鼓動

車が停まっている棚の本の空いている床

傘を置き円筒ばかりの市に立ち会う

人魂を避け街の橋踏み外す

土の色彩眺めている川の字ぼろりと落ち

人間の肌と海の図ずらすばず

胴体振り乱す少女の両頬に壁

山に打ち上げられた魚死ぬのは山の方

野原の類へ溶け出す球根逆さに浮き

回転木馬の前で悔やみ黒くなる回転体

火の中に火はあり憎みあうとか

愛する町にただ一人沈黙が住んでた

黒い耳の半径を兎は屈む

打ち振るう眼差しを漕ぐ海まで

足首まで時計の底の浅い闇

供養まで金属音が犇めく幅

薄いフィルムを重ねて整う雲を踏む

いずれ墓となる風の中に茶封筒平たく

淋しい腹話術を操る空洞そのもの


川柳 0mm漁礁 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2008-06-05 13:40:33
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