飾り
おるふぇ

気がつけば、貴女の躰で眠っていた
窒息しそうなほど、むせ返る色気の中
妖しいひかりが、神秘的に照らしている
手折れたつばさの、はねの一枚一枚を
貴女はひろいあつめた、まるで世界がおわる前の準備のように
毅然としたたたずまいで、ばらばらのはねをひろいあつめた

『いっそこのまま、殺してくれないか』
誰もいない天国よりも
貴女のいる地獄がいい
真綿のような
ゴムまりのような
安らぎと苦しさの恍惚で
オ望ミノモノガタリハ、イカナルモノデショウ?
そのすきとおる冷徹なほほえみに抱かれて
どこまでも、堕ちていけたら


あつめたはねが、繋ぎ合わされれば
貴女は黄泉と聖地の架け橋のように
大きなつばさを持つことになる


オルフェウス
まだ、奏でられる?

うん、まだ
かろうじて

なら、やってみ
さあ、

う、やっぱ
無理かも



ことばをなくした詩人
うたをなくした吟遊詩人


天と血と
狂乱と覚醒の嵐

静かに また 貴女の躰で

貴女の海で、官能で

その喪失を 音に

広がりに



きみが音痴なら

感覚だけで 鳴らせばいい


いつしか繋がるだろう

生まれてきた荒野で

ひとつ ひとつ なくしながら

母の名をよび


貴女の 嫌悪と嫉妬の鋭利な先端で

ふしている あの そうあの胸騒ぎ


欲、少なく
幸、多く



胸騒ぎ は 才能のない己を 責めたてる

空漠、 ただ並べられたことばが 灰のように舞う




貴女のしあわせ
ねえ、ふるえてるのはどうして
とびたてないのはどうして
怖がりなだけなの
ひろいあつめたはねは
貴女を飾るだけ


うたえるか、
オルフェウス

ないけど
自信

んなもん、
出しゃいいだけだろ

え、でも
そういわれても

ちっさいな
ついてんだろ、ほれ

うう
ううう、




それはウソじゃない
貴女はしあわせ
どうなっちまうんだろう
終わらないんだろう

思い出す、
ずっと眠っていただけということ
ああ、そうか
貴女は夢だったんだ
違う、
本当だったんだ
ここに はね、
おちているから


(晴れた空をみあげる)



思い出す。
貴女の躰の中ではなしていたこと
とおい記憶のどこかで
ふかい感情のどこかで


(絶望と希望、それ以外の、それ以上の)


うたっていた歌
泣いていた時間


ひろいあつめたのは、
貴女だったんじゃない
しあわせだったのは
しあわせだったのは
シアワセダッタノハ


自由詩 飾り Copyright おるふぇ 2008-05-26 22:51:00
notebook Home 戻る  過去 未来