風がやさしくキスをする
こゆり
淡いブルーの
ツメを乾かしたら
出かけよう
サンダルをはいて
軽やかに
白いプリーツを
ひるがえす
出会いはいつも自由
風を探しに
電車に乗って
どこまで行こう
モノクロの街並みをぬけて
とおくとおく
行けるところまで
揺られながら
はがされて
さらわれていった
カタチないものたち
生まれたての
やわらかな綿毛が
飛ばされないよう
手をつなぐ
世界が
少しずつ変わって
降り立った駅を背に
広がる水平線
砂まみれのサンダルを
高く飛ばして
きらめく砂の粒を
舞い上げる
うみどりのなき声が
終点を告げ
生まれたての潮風が
甘く頬に
キスをする